
その静かな語り口の奥に、泥臭くも温かい「本気の覚悟」を見た。
だから私は、この挑戦にそっと寄り添い、
一緒に背負いたいと思った。
かつての町長が愛した、
人が優しく繋がるこの町。
遺されたそのバトンを、
今度は私が「言葉」に乗せて。
この町のみんなと一緒に、
本気で「日本一」の景色を見に行きたい。
■誰もが優しく受け入れられる「居場所」の記憶


21年前、平成の大合併で世間が揺れていた頃、当時の松前町長・白石勝也さんが地元でそっと始めたのが「南黒田の芋炊き会」でした。
「ねぎ祭りの文化を途絶えさせてはいけない」
そんな温かい想いから生まれたこの会には、たっぷりの青ネギと、21年間変わらない鶏ガラ出汁の優しい香りが漂います。
16年間にわたり松前町を牽引してくださった白石元町長は、今年、静かにこの世を去りました。
けれど、彼が残した芋炊き会は今年、過去最大の参加者で賑わったのです。
役員の方々が口にするのは、「外から来た人が住みやすい温かい地区になるように」という言葉。伝統やしきたりを押し付けるのではなく、誰もが優しく受け入れられる「居場所」を作ること。 そんな温かいお椀の中心で、主役として輝いているのが「里芋」です。
■水が育む驚きの美味しさ。愛媛が誇る「里芋」の底力


実は今、この松前町の、そして愛媛県の里芋が、日本中で大きな誇りになろうとしていることを、皆さんはご存知でしょうか。
「愛媛の里芋を、全国1位にしたい」
先日、松前町で里芋を育てる農家さんから、静かで、でも火傷しそうなほど熱い想いを伺いました。
愛媛県が開発した里芋「伊予美人」。
驚くほど柔らかく、一度食べたら忘れられない美味しさです。包丁やアルミホイルで綺麗にこするだけで、皮を剥かなくてもにそのまま食べられる。昔から里芋を食べ慣れているはずの地元の人すら、「こんなに美味しいんや」と目を見張るほどの味と食感なのです。
愛媛県は現在、県内の野菜産出額の中で里芋が堂々の第1位。全国でもトップの埼玉に手が届く「3位」に位置しています。
松前町は、豊富な水資源と平地が広がる、里芋作りにこれ以上ない絶好の舞台です。
「2日水がなかったら葉が枯れ出す」と言われるほど水管理が命の里芋にとって、この町の豊かな水系はかけがえのない宝物なのです。
■タイムリミットは7年。「日本一」への泥臭い覚悟

農家さんたちの胸にあるのは、
「一生に一回あるかないかの、全国1位を狙える絶好のチャンス」という強い覚悟でした。
泥まみれになりながら、天候に祈りながら育てる日々。もし1位になれば、それは農家さんたちにとって何よりの「誇り」になります。
でも、残された時間はあと7年。
7年後には「伊予美人」の種苗法の制限が切れ、県外でも栽培が解禁されてしまうのです。だからこそ、今このタイミングで愛媛のブランドとして確固たる地位を築き、全国1位の座を掴み取らなければなりません。
■一つのお椀を囲んで。繋がれたバトンを未来へ






■一つのお椀を囲んで。繋がれたバトンを未来へ
白石元町長は生前、旭日小綬章を受章された際、こう語られていました。
「受章は町民の皆さんに支えていただいたおかげです。町民のみんなでいただいた章なので、一緒に喜んでいただけるとうれしい」
常に住民と同じ目線に立ち、人を巻き込み、繋ぐことを何より大切にされた方でした。
彼が芋炊き会という「場」で人々を繋いだように。
新しい住民も昔からの住民も、一つのお椀を囲んで笑顔になれるように。
先人たちが守り、農家さんたちが手塩にかけて育てた愛媛の里芋。
今度は私たちが、この想いに寄り添い、この里芋を「住民が誇れる特産品」へと押し上げる番です。
まずは今夜の食卓で、スーパーに並ぶ私たちの誇り「伊予美人」を。
あるいは地域のいもたき会で、農家さんたちが泥まみれで育てた愛情たっぷりの「松前の里芋」を。
驚くほど柔らかくて美味しいその味わいを、ぜひ確かめてみてください。
■想いを背負い、自分の足と言葉で伝えていく
そして明後日、私は高知県へ向かいます。
農家さんたちが泥まみれになって育てた「松前町産の里芋」を、彼らの熱い想いと一緒に、私の手で直接届けてきます。
そして、この高知での販売を皮切りに、里芋やはだか麦といった農産品、昔から愛される珍味、そして松前町そのものの温かい物語を、これからは自分の足と自分の言葉で、町内外へ伝えていくつもりです。
不思議と、不安はまったくありません。
作り手の皆さんの想いを背負い、ただ全力で伝えるだけだから。
私たちがここから始める泥臭い挑戦を、どうか温かく見守っていてください。


Comments